作文ジム

文章を書く練習をしています。毎日1,000字目標

標準語

さっそく始めよう。ランダム単語ガチャ様よりお題を頂戴する。

ランダムで算出された3つのお題の中から、一番「これなら書けそう…」と思ったものから選んで書く。1つの話題につき1,000字程度を目標とする。

 

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お題20210617

今日は「標準語」でチャレンジ。

 

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方言女子という単語をよく聞く時期があった。地方の独特な言葉を話す女の子がかわいい、という世間の声から生まれた言葉だったと記憶している。多くの人が、方言の響きに温かさとか親しみやすさに似たイメージを抱いてるということだろう。

 

首都圏に生まれ育った私は、標準語といわれる話し方以外のものを身につけていない。地方出身の友人が標準語の合間に無意識で発していた、私にとってなじみのなかったイントネーションや言葉遣いを聞いて「ちょっとあざといな」などと感じていた。「あざとい」と思うということは羨ましいと感じているということで、つまり私も方言に何かしらの幻想を抱いていたのだろう。

 

一時期、事情があって西日本で過ごしていた。標準語を話す私は、生まれて初めて「珍しいイントネーションでしゃべる人」になった。特に何も考えずにしゃべっていると「横浜出身の親戚としゃべり方が似ている」とかいうような感想をもらうようになった。私の性格のせいもあると思うが「なんかちょっとよそよそしい喋り方だよね」と言われることもあった。これって、大阪出身の人が関東に引っ越してきて「大阪弁でなんか面白いこと言ってよ」と無茶振りされる「方言あるある」的なシチュエーションと同じではないか。この場では、多数派である相手の喋り方こそが「標準」であって、少数派の私が喋る言葉遣いはその「標準」をもとによそよそしいなどという判断を下されているのだ。標準語などという概念は、案外相対的なものではないだろうか。自分の喋り方へ不意に投げかけられる感想にたどたどしい反応を返しながら、私はうっすらそんなことを考えていた。

 

にしても、方言=あたたかい、標準語=冷たいというゆるぎないイメージは一体どこから生み出されたのだろうか。「標準語なんて相対的なものじゃん」などと偉そうに考えていた私だが、いまだに東北や近畿のイントネーションを聞くと「方言かわいい~羨ましい~」などと安易な感想を口にしてしまうことがある。「地方独自のことば」というものにちょっとした憧れを抱いてしまう感性が、出身地関係なく全国の人々に共有されているのは不思議なことだ。